第9章 どうして君を好きになってしまったんだろう 【Dear番外編】
アレン君、気付いてる?
貴方はいつも自分そっちのけで他人を気遣う癖があったんだよ…
そんな貴方があんな事までしてを手に入れたかったのは…
「アレン君」
「…何ですか?」
キョトンとしてアレンはリナリーを見た。
「に…会わない?」
「…どうしてですか?」
元から影を背負っていたのに、その影が更に強くなった。
「あれから一度もと話してなかったでしょうもアレン君の事捜してたわ」
「行きませんよ、リナリーだってわかってるでしょう?僕は最低な人間なんです」
「どうして…?」
リナリーが尋ねると、アレンはその場に座り込み頭を抱えた。
そして苦情の胸の内を明かした…
僕だって、本当は辛かった
を抱いてる筈なのに、はいつも僕と神田を重ねてる…
本当に好きなのはあっち
僕はただひとり空回りして、
自分勝手で…傷つけて…
がいなくなって、やっと気付いた
僕は人の未来を歪めてしまったんだ…
崖から突き落とし、その人の遺品を両手に抱えて笑っていたんだ
「僕は…僕は…!」
「アレン君…」
ふわりと優しくリナリーの腕が自分を包む。
「もう、もういいよ…」
貴方がそこまで、を愛してた事…
愛しすぎて歪んでしまった事…
全部独りで背負い込んでしまった事…
「ちゃんと伝わったから…」
貴方は十分苦しんだね…
「本当は、私…アレン君が悪いんじゃないって思ってる。
アレン君が本当にを愛していたから道を外したんだって、もちゃんとわかってるわ」
震えるアレンの肩を抱きしめ、リナリーは言った。
「だから、は辛かったの。貴方の一途な愛を知っていたから、貴方を拒む事が出来なかったのよ」
は優しすぎるから…
たとえ相手が自分の愛する人じゃなくても…
「2年前アレン君に言ったのも、アレン君の外した道を正したかったのよ」
そう、優しさ故に…
「は自分だけ幸せになる事は出来ないと思ってる。
アレン君にも、笑ってほしいって…」