第8章 Dear 神田切甘裏【幸せですかの続編】
ーーー・・・
個室の自動ドアが開くと、は半ば駆け足でそのベッドに駆け寄った。
「ちゃん!お腹の子に悪いわよ」
そう婦長に注意された。
そっか、この身体はもう、私一人のものじゃないんだ…
「ユウ…!」
ベッドで仰向けに眠っているのは紛れも無く、二ヶ月ぶりに見るの元恋人、神田ユウだった。
しかし神田は、その声に応える事なく、ましてや起きる気配すらない。
それに肌の色が透き通るように白い。
頬は窪んで、随分痩せた気がする。
彼の左腕には栄養補給の点滴が繋いであった。
そんな彼の変わり果てた姿を見て、は涙した。
彼がこんなになってしまった理由は自分にあるのだから―――
「ごめん、ごめんね…ユウ…」
久しぶりに会った嬉しさよりも、悔しさが溢れてを締め付けた。
婦長は気をきかせてくれたのか、静かに部屋を後にした。
そばにいてあげられなかった…
あなたは人を寄せ付けずに平然を装って、
一体どれくらい影で泣いていたの?
ひとりで…
「ユウ、あなたが好き…好きだよ
こんなに苦しくなるなんて思わなかった。
あなたに会いたくて、会いたくて…仕方なかった…!」
はその場に座り込んだ。
涙が後から後から溢れて来る。
「愛してる…愛してるから…!」
どうか神様、
ユウをこれ以上傷つけないで…