第8章 Dear 神田切甘裏【幸せですかの続編】
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「そう、それでアレン君と…?」
「はい…ユウが知ったらきっとアレン君に酷い事するだろうって思って…」
私が話してる間、婦長は真剣な表情で私を見つめていた。
今まで誰にも相談しなかった分、少し気持ちが楽になった。
「それで…ユウと別れた今、ここに…ユウとの赤ちゃんがいるんです」
お腹をさする私に、婦長は顔を歪ませて私を抱きしめた。
「婦…長?」
「辛かったわね…苦しかったわね…っ!」
「……っ!」
初めて言われた。
辛かった…苦しかった…
もう、死にたいとすら思った。
でも、今私を理解してくれる人に打ち明けられて、それは無くなった。
私、独りじゃないんだ…
そう思うと涙が溢れた。
「ふ…ぇ…」
あんな形でユウと別れて、
妊娠したと言われて…
不安で不安で仕方なかった。
そんな時、思い出したのはあなたの仏頂面な表情。
私は子供のように、婦長の胸を借りて泣きわめいた。
ユウ…ゴメン、ゴメンネ…
やっぱり私、あなたを忘れられない…
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「婦長、私…教団に帰ります」
「ちゃん…」
婦長の顔を真っ直ぐ捕らえ、私は言った。
「帰って、ユウの側にいます。
今彼を救うのは、私だから」
そして彼が目を覚ましたら…
本当の事を言おう。
許してもらえなくたっていい…
ただ、私はあなたの側にいたかった…
あなたを傷つけたくなかった…
もう一度、二人で笑い合いたい。