第6章 オキザリス 神田切裏
「どうしたの、凄く嬉しそうね?」
「あ、リナリー。アレンくんも」
浮かれていたの満面の笑みに、二人とも神田絡みかと推測する。
「神田は今日から任務ですよね?」
「うん!明日の夜、帰って来るって」
「相変わらず仲良いのね、二人とも」
リナリーが微笑む。
「じゃあ帰って来たらまた...Hかな?」
「はっ!?な、何言ってるのリナリー!」
は心を読まれたのかと胸の高鳴りを抑えて言った。
アレンまでも呆気に取られている。
「だっての声ってよく通るから、結構聞こえてるわよ?それにその首筋のマーク…バレバレ」
「え?あっ!」
いつの間に、と自分の首筋を摩ると、僅かに腫れている箇所があるのを発見した。
「ここは男性密度が高いから気をつけてね」
と、言ってリナリーは去って行く。
残されたアレンにはぎこちなく話し掛けた。
「も、もうっユウったら付けないでっていつも言ってるのに、空きあらば付けるんだから…こ、困ったなあ…」
「は…神田の事好きですよね…?」
酷く落ち着いた声のアレンに、は少しホッとした。
「う、うん…一応付き合ってるんだしね」
こんな事を神田以外の異性の前で言うのは少し恥ずかしかったが、アレンになら、と思って応えた。
「神田以外の男性とシたことって、あります?」
唐突な質問に、またもやは顔を赤らめる。
「な、ないよ!当たり前じゃない!」
あったら神田に何をされるかわからない。
それに、は一途なので、神田以外の男性には目もくれない。
「ふ~ん、やっぱり一途なんですね」
ニコッとアレンは微笑んだ。
「う、うん…」
気恥ずかしくなり、は髪をかく仕草を取る。
「そうだ、ちょっと僕に付き合って頂けませんか?訓練所の倉庫に猫が入り込んだんです。」
思い出したようにアレンは言った。
「猫?わかったわ。行きましょう」
「本当ですか?ありがとうございます。」
この時の私の注意力の無さを、今はずっと恨んでいる。
でもあの頃の私は幸せ過ぎて気付かなかったのかもしれない。
まさかあんな事になるなんて、思っても見なかったから…