第4章 fated アレン切裏
(僕がそんな事するわけないじゃないですか!シェアフさんの馬鹿…)
生まれてから、一度も恋をしたことのないアレン。
確かには人を寄せ付けないようなオーラと、人の目を引く妖艶な容姿をしている。
だが、自分は常に礼儀を忘れない紳士。
会って間もない女性に一方的な欲求をぶつけるなど―――
(ナイナイ!絶対にない!師匠じゃあるまいし!)
不意に、あの魔の使いのような鬼元帥を思い出してしまった。
「ねえ」
「ッ!は、はいっ?」
ギクリとなってアレンはを向いた。
「貴方もここで終わるの…?」
「え…?」
「だって、アクマに入り口を塞がれたんでしょう?じゃあ、退かすのに時間が掛かるわ。ここは行き止まり…」
貴方は、閉じ込められたのよ?
「でも、きっと探索隊の人達は助けに来てくれますよ…」
優しく微笑むが、は驚いたような目をして言った。
「待ち続けるの…?」
「それしか方法がありませんし…」
キョトンとして言うが、は首を振った。
「信じ続けるなんて…私には出来ない」
「どうしてですか…?」
「助けて、なんて言っても…届くわけないでしょ…」
周りの人間は、私になんか目も向けない…
自分の足でここから出ても…
もう、私の居場所はない…
あの男(ひと)は、いない…
「さん、貴方は…」
アレンは、に歩み寄り 、その剥き出しの孤独な肩をそっと抱いた。
「孤独で…寂しかったんですね」
「………」
愛する者を無くし、人々から拒絶され死ぬ事を許されない身体になった…
過去に戻る事も出来ず、
いつしか未来へ進む事すら恐れてしまっていた――
たった独りで…泣くことすら忘れて…
「大丈夫ですよ…僕がいます。今は…泣いてもいいんです…」
を抱き込むようにして囁くように言った。