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songs(R18)

第32章 ep6 繋心のワルツ




「なんで特別じゃないって、決め付けるんさ?」

は涙に濡れた顔を上げた。
でもまたすぐに地面を見つめる。

「……っ…」

脳裏に、彼の隣にいた淑女が過ぎる。

きっと…きっとユウはあの人が…


「最初に言っとくけど、さっきの子はユウの恋人じゃないさ?」

「………?」

「リナリー・リー。ユウの従姉妹さ」

「…え…?」

のほうけた表情に、ラビは柔らかく微笑んだ。

「詳しく言うと、ユウの亡くなった母上の妹の娘。とは同い年だと思うさ」

「ユウの、従姉妹…?」

「ちっちぇ頃はよく一緒にいたらしいけど、ユウはあんまり意識した事はないらしいさ」

あんなに綺麗なのに…

「じゃあ…あのダンスは…」

「社交ダンスみたいなモンさ。あの曲は、華やかな音色で、社交用だったから好きな相手以外と踊ってもいいんさ」

「………」


自分の勘違い…

けれどまだ浮かない顔のに、またしてもラビは言った。


「ユウは変われたんさ、のおかげで。

…人間本来の優しさとか、たまに見る笑顔とか…全部が来てから見れるようになった」

目をつむり、思い出すように話すラビ。


使用人として、ずっとユウを見てきたラビがそう言うのだったら、事実なのだろう…


けれど、

「私は何も…使用人として、ただ側にいただけ…」

ぽんっとの頭にラビは優しく手を置いた。


「それ、さ。ユウを変えたんは」


顔を上げると、ラビは先程と同じ、優しい独眼でを見下ろしていた。

「が側にいてくれたから…ユウは、人の温かさを知ったんだと思うさ。

俺は今まで、ユウと一緒にいるだけで、何も進歩しなかった。

けどお前は、いつもユウの為に動いてたさ」


ユウの好きな色を予想して、花を挿したり…

ユウの熱を下げようと、屋敷ん中を夢中で 走り回ったり…


「ロードに嘘つかれて、ずっとチェシャー探してた時も、ユウを悲しませたくないからだったんだろ…?」

は頷いた。
ラビはにっこりと笑んだ。

「そんだけしてたら、ユウも変わってくさ。
自分は一人じゃないって、思うようになったんさ」


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