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songs(R18)

第31章 ep5 君の特別





―――…


プロのバイオリニストやピアニスト達が奏でる演奏。
それに合わせて会場の貴族達は優雅にダンスを踊る。

そこに一組、周りの人々よりも幾分か若い美男美女のペアが周りの目を引き付けていた。


「フフ…ユウったら、いつも何をしてても目立つわよね」

「そう言うお前も、普段より露出したドレスを着てるからだろ」

彼等にしか聞こえない声で話す二人。


ユウの優雅で完璧なエスコートを受ける女性は、彼と並んでも恥じない程の美少女だった。

高い位置で、艶めく深緑の髪を二つに束ねた少女。
瞳が綺麗で、見ていて吸い込まれそうになる。

肩が極端に露出させる黒のドレスを身に纏い、細く白い二の腕が辺りの男爵やその子息をくぎづけにした。


「そろそろいい人は見つかった…?」

「そう言うお前も、まだまだ結ってる位置は下がんねぇな」

「もうっ…子供だって言いたいの?」

他愛ない話をする二人。


こうして話をするのはいつぶりだろうか…

以前まではこの少女が、唯一自分と同等に話せる女だった…

けれどやはり、彼女にも少なからず壁を作っていた。



…今は何故か、自然と言葉が溢れ出てくる。

彼女に言えなかった事が、沢山溢れてきた…


「ユウ…変わったわね…」

「皆に言われる。どう変わった…?」


くるりと少女が回る。


「優しくなったわ…とても」

少女は嬉しそうに笑む。
ユウも満足気に微笑した。


「何かいい事があったの?」

「…ああ」


自分は変わった。
それが周りから言われるのが嬉しかった。


「それは、あの子のおかげよね…?」

が…
あいつがいてくれたから…


「…ああ」


彼女は、他の女達にはないものがある。

もちろん、リナリーにもないものが…


それが、自分を変わらせた。
人を、好きにならせた…


誰かを大切に思う事、守る事…

彼女が側にいてくれるだけで、自分は気付く事ができた…



「いつか、ちゃんと伝えてあげないと…」

「フン…お前に言われなくても…」


そう、あいつが許してくれるなら、今すぐにでも――…


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