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songs(R18)

第31章 ep5 君の特別





―――…


「あら?貴女、さっきユウ様と一緒にいらしてた…」

「え…?」

高級感溢れる手洗い場で、はそう声をかけられた。

振り向くと、そこには美しい女性が立っていた。


滑るように艶やかな黒髪は切り揃えられ、切れ長の瞳。
東洋系の顔で、アジアンビューティと言うのではないだろうか。

クロスが大人の男性なら、彼女は大人の女性を代表できるだろう。


「はじめまして、アニタと言います」

その美しい女性は、に細い手を差し出した。


「あ、はじめまして。・ピュアリスと言います」


はその手を両手で包み込むように握った。


「ちゃん、ね…可愛いお名前だわ」

「あ、ありがとうございます」

微かに頬を赤らめる。


(綺麗な人だな…)


それに、切れ長の瞳とは対照的に優しそうだ。

アニタは小さなと視線を合わせるようにしてしゃがみ込んだ。


「貴女、ユウ様の恋人かしら?」

「えっ、ち、違いますっ!」


アニタの唐突な質問には慌てふためく。


「そうなの?大事にされていたから、てっきり恋人なのかと思ったわ」

「そんな…大事になんて…」


顔を赤らめるを、アニタは微笑ましく眺めていた。


「でも、掛け替えのない存在には変わりないのね…」

「え…?」


はアニタを見上げた。


「彼…なんだか、穏やかになった気がするわ…」

「…そうなんですか?」

「昔はもっと目つきが鋭くて、周りに人を寄せ付けないようにしていたから…」

アニタはの白い頬を撫でた。


「ありがとう、ちゃん」

アニタは意味ありげにそう言った。


「………?」

「そろそろ恒例のダンスパーティーが始まる頃よ。彼と踊ってきたらどうかしら?」

「な、な、なんで私が…っ?」


顔を真っ赤にして言うに、アニタは口元を抑えて笑った。


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