第31章 ep5 君の特別
―――…
「…変な虫が付きそうさ…」
「え?虫?」
馬車から降り、丁寧なエスコートでを降ろしたラビはそう呟いた。
ラビの言葉に首を傾げる愛らしい少女をあまり直視しないようにして、不自然に言葉を濁らせた。
それでも頬が熱くなってしまうのは、自分が心底この少女に惚れているからだろう。
「あー可愛い…」
「俺を見て言うんじゃねぇ。馬鹿兎」
続いて降りたユウは不機嫌そうに、歩き出した。
「あ…」
そんな彼の背中を慌てて追う。
ラビはそんな彼女を見て、溜め息を漏らした。
「いいよな…ユウは」