第31章 ep5 君の特別
は慌てて首を振った。
「ど、どうしたの?ちゃん」
ミランダが驚いて尋ねた。
「あ…ううん、何でもない…」
はそう言って、再び俯く。
「ちゃん」
ミランダが回り込んで、の隣にしゃがみ込んだ。
そしての顔を両手で優しく包み込んだ。
「自信を持ってね…」
そう言って微笑むミランダ。
は胸が温かくなる感覚と、張り詰めていたものが和らいでいくのを感じた。
は口端を釣り上げた。その微笑んだ表情が、本当に美しいとミランダは思った。
「ありがとう…ミランダ」
「頑張ってね、ちゃん」
ミランダも微笑み返す。
「なんだか、ミランダも変わったわね…」
初めて逢った時よりも、ずっと…
「自分に、自信が持てるようになったからかしら」
確かに、彼女も最近気付いた事なのだが、ミランダはドレスや礼服等の衣類の着付けがとても上手いのだ。
これが彼女にとっての長所になり、自信に繋がったらしい。
「ちゃんのおかげよ」
「わ、私…?どうして?」
は小首を傾げる。
「貴女に出会えたから、私、変われたのよ…ありがとう」
ミランダはそう言って白いチョーカーを差し出した。
「いってらっしゃい」