第31章 ep5 君の特別
「お前は…」
「良いに決まってるさ!はユウの専属メイドなんさ?当たり前さ」
ユウの言葉を途切れさせ、ラビの言葉が室内に響く。
「な、ユウ?」
が顔を上げると、ユウは優雅に茶を飲んでいた。
トクン…と胸が高鳴る。
「い、いいの…かな、ユウ?」
カップから口を離したユウは、を見ずに時計に目をやった。
「夕方には此処を出る。衣装はラビに任せるから、ミランダにでも着付けてもらえ」
の表情は、花のように明るくなった・・・
―――…
「ミ、ミランダ…あの…」
鏡台の前で、ミランダに髪を整えられているは、歯切れ悪く口を開いた。
「何?ちゃん」
不思議そうに、ミランダは手を止めての顔を覗き込んだ。
はどこか恥ずかしそうに俯いた。
「こ、こんなドレス…私が着てもいいのかな…」
の着ているドレスは、純白で最高級の素材のものらしい。
ドレスの選者はラビなので、もっと胸の開いた大胆なものかと思ったのだが、肌をあまり露出しない、が嫌悪しないものだった。
けれどやはり元なる素材は高級感を感じさせられ、一般庶民のは座るのもびくびくしていた。
「フフ…」
ミランダは微笑んだ。
「とってもよく似合ってるわ、ちゃん」
「ほ、本当…?」
ミランダは頷いた。
「専属メイドとしてじゃなくて、ユウ様のパートナーとして参加しても大丈夫よ」
ミランダはの顔を上げさせた。
が見つめる先には、綺麗に髪を結われ、少しの化粧を施された少女が、恥ずかしそうにこちらを見つめていた。
(ユウのパートナーとして…)
頬が色づく。
彼の…ユウの隣でいられたら…どんなにいいだろうか…