• テキストサイズ

songs(R18)

第31章 ep5 君の特別





―――…



「や、夜会…?」

「今回、ナイトパーティーの主催者はクロス…クロス・マリアン伯爵だ」

「げ…あのマリアン伯爵かよ…」


ユウの話を聞くと、ラビはあからさまに引き攣った様子で言った。
そんな彼に、は尋ねた。

「マリアン伯爵って…?」

「上流階級の貴族ん中でも、一目置かれてる奴さ。
酒と女には目がない、そんでもって野郎には残虐非道なオッサンさあ」

そう話すラビの表情はみるみる曇っていき、その伯爵の事を善くは思っていないようだ。

「そのマリアンって伯爵はしょっちゅうパーティー開くんさ。
いつもだったらフロワ伯爵が行くんだけどさ」

言いながらラビはちらりと、腕と脚を組み眉間にシワを寄せるユウを見た。


「フロワ伯爵は不在なのよね?」
「そ。だからユウが行かなきゃいけないんさ。なあ、ユウ?」

ニヤリと口端を釣り上げるラビに、ユウはおもいっきり舌打ちをする。

「…そのパーティーにはお前達にもついて来てもらう」

「私達も…?」


はラビと顔を見合わせた。


「何さ~?やっぱユウもひとりじゃ淋しいんさ?」

ニヤニヤと笑みを浮かべるラビ。そんな彼を、ユウは切れ長の瞳で思いきり睨み付ける。

「馬鹿…パーティーには従者を付けるのが常識だろうが。今回はメイド長謙、使用人長のババアが故郷に帰ったから、代人として連れて行くだけだ」

再び舌打ちをして、顔を背けるユウ。

とラビは、お互いの顔を見合った。

(つまり従者代表って事よね…)


だが、ラビは執事として付いて行くのは良いだろうが…

「私も…いいの…?」


自分は、ただの使用人なのに…

ちらりと、ユウがこちらを向いた。
見つめられるのが恥ずかしくて、つい俯きがちになってしまう。



/ 412ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp