第31章 ep5 君の特別
先日、はユウの専属メイドになった。
理由はわからないが、彼の意志で任命したのでに拒否する権利はない。
専属メイドは、他の使用人達とも仕事衣が異なり、彼女等が白ならは黒の多く含まれた仕事衣だった。
(あの服でもよかったのに…)
そして、専属は仕える者と同等に話す権利が与えられている。
ユウを呼び捨てる事も、その権利の中に入っているのだろう。
最初の頃は、中々呼ぶ事ができずに、ついつい様付けになってしまった。
最近は意識せずともそれを口に出す事ができるようになったのだ。
は僅かに赤くなりながらも、口を開く。
「だ、だって…専属になったんだし…呼び捨てしないとラビがからかうから…」
けれど、今こうしているのにも対してからかわれるなら同じ事だった。
「そういえば、さっきユウに呼ばれてたんさ」
パチッと懐から懐中時計を出して時間を確認した。
「ほら…早く行かないと」
「いやいや、も来いってさ」
「………?」
「“なんで私も?”って言う顔してるさ~」
ラビはの額を指で弾いた。
「はユウの専属メイドなんさ?個人的にユウに呼ばれるのは当たり前さ」
「あ…そっか」
思い出したようには拳を手に打った。