第30章 ep4 皆が変わる日
「~!!」
昼下がり、ユウとがいるこの部屋にノックもせずに入り込んできた少女…
「ロード…?」
ロードは来るなりに勢いよく抱き着いた。
今日はよく抱きしめられるな…、とは思った。
「…ロード…泣いてるの?」
彼女が鼻を啜る音がしたので、顔を覗き込む。
「ごめんね…ほんとにごめんねぇっ」
突然の謝罪に、は首を傾げる。
「どうして謝るの?ロード」
「だって…僕ね…っ」
は泣き崩れるロードの背中をさすってやる。
少女の背中越しに、ユウが席を外すのと、代わりにティキが訪れたのを見た。
「…嘘ついてごめんなさい…っ」
ロードは昨夜の事情をにすべて話した。
彼女自身も相当こたえたのだろう、一向に泣き止む気配がない。
「そう、だったの…だから…」
あんなに一生懸命、ユウの為に…
「、本当に悪かった。何か詫びに…」
ティキの表情も俯きがちで、顔の青い二人を前に、は少し困ったように笑みを浮かべた。
「いいですよ、そんなの…」
「でもぉ…」
ロードは顔を上げた。
「ほらっ私、もう元気だし。過ぎた事を言ってもしょうがないわ」
ロードを安心させるように、は柔らかく微笑んだ。
次第に安心したのか、安堵の笑みを漏らすロード。
ティキも僅かだが、微笑んでいた。
室内に穏やかな空気が流れる。
「優しいね、は」
「………?」
「そうやって、過ぎた事だからって受け入れて…優しいよ」
ロードの言葉を聞くと、は微かに表情に影を作った。
「そんな事…優しくなんかないよ…私なんか」
「ぇ…?」
ロードはの異変に凝視した。
12歳の少女でも、わかる程の彼女のオーラの変化…
「一つだけ…一つだけ絶対に許せない事があるの」
「絶対に…許せない事…?」
「そう、今も…だから私、その事以外には、絶対怒らないから」
そう言って微笑んだの顔は、普段の彼女の顔だったので、ロードは安堵して微笑んだ。
ロードには、そう見えたのかもしれない。
けれどティキには、その笑顔の裏で泣いている気がした。