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songs(R18)

第30章 ep4 皆が変わる日





飛び出さないといけないくらいの資料なのだろうか、は思った。


「じゃあ、私も行くわね。ユウ様にクビにされたら困るわ」

ミランダはにっこりと微笑んだ。

「また、来るわね…」

「うん、ありがとう…ミランダ」


部屋を出て行くミランダを見送り、はユウを向いた。
すると彼もの方を向いていて、何とも穏やかな空気が漂った。

「ユウ様、お料理も上手なんですね」

「フン…見よう見真似なら誰だってできるだろ」

ユウは言いながら、ソファーに腰を下ろした。

「まだ熱あんだろ…ちゃんと寝とけ」

「あ、はい…」

まるで親のような言葉に、はクスリと笑った。

無言でユウがこちらを見る。

「…あと5秒経つうちに寝ねぇと…」

「はいっはいっ!速やかに寝させて頂きますっ」


は慌てて毛布を被る。


暫くすると、本当に眠ったのか、穏やかな寝息が定期的に聞こえてきた。


「……ちっ…」


ユウは小さく舌打ちをした。




・・・まったく、本当におかしな奴だ。


(普通猫探しに何時間も外、歩くか…?普通)

確かに、チェシャーがに懐いているのは知っているが、彼女もそこまで愛着していたとは…


そんな事より、自分も自分だ…

気が付けば外へ走り出し、こいつの姿を探していた。


が目覚めてからも、こうして不明な理由を添えて側にいたがった。


(俺は…)


穏やかな寝息を立てるの側に行き、そこに座り込む。


「………」

次第に、指先が彼女の唇に近付いた。



“ユウ様…”



「………」


その唇に触れる事はできなかった代わりに柔らかな髪を撫でる。



臆病な自分…
いや、自分は…



「いつか…話してくれる日は来るのか?」

あの、彼女のロケットの写真が、まだ頭に焼き付いている…

いや、忘れられないだろう…

太陽のように優しい彼女が…



ユウはのベッドに腰を下ろし、頭を抱えた…



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