第30章 ep4 皆が変わる日
―――…
「この野菜スープ、美味しい…」
「そう?よかった…」
身体を起こし、ミランダから貰ったスープを口に含むと、あまりの美味に目を丸くした。
「それ、ユウが作ったんさ」
椅子に座っていたラビが言った。
はラビの言葉に目を丸くした。
「ユ、ユウ様が!?」
「そ。朝早くに厨房で作ってたさ。屋敷のジェリーに作り方を教えてもらってさ」
ジェリーとは、この屋敷の料理長である。
長身で、れっきとした男性であるが、男色気がある様だ。
は彼が作ったと言う温かなスープに目を落とす。
「“どうして”って顔してるさ?ユウは、やっぱ変わってきてるんさ」
ラビは人懐っこい笑みを浮かべた。
「の事、抱えながら帰ってきた時、ユウ叫んだんさ。
“こいつを死なせるな!”って」
「私も、あんな必死なユウ様、初めて見たわ…」
ミランダも、ユウの変化を絶賛する。
「ありがとうさ、」
ラビはを見つめた。
「な、何で私なの?」
どきりとして、尋ねる。
「またまた~」
ラビはニヤニヤと口元を緩めた。ミランダもクスリと笑った。
「も、もうっミランダまでっ…何なの?」
顔を赤らめる。
ラビはその身体を抱きしめたくて仕方なかった。
けれど、手が動いた所で、その衝動は抑えられた。