第30章 ep4 皆が変わる日
お嫁さん・・・
そういえば、ロードはどうしたのだろう?
チェシャーを探しに行った直後、何故かティキに足止めされたのだが…
考える暇もなく、朝食が運ばれてきた。
「ちゃん!」
「あ、ミランダ、おはよう」
朝食を運んできたミランダは、の顔を見るなり彼女の頭を抱きしめた。
「よかった…っ、ちゃんと生きてるのね…っ」
「い、生きてるなんて…大袈裟だよ…」
は照れながら、彼女の細い背中に手を回した。
ミランダは滲んだ涙を拭い、の手を取る。
「…ユウ様に抱き抱えられて戻ってきたちゃん…本当に死にそうだったのよ…」
「え…?そうだったの?」
自分は寝ていたので、その間の事は当たり前だが覚えていない。
「手先は冷たいし起きないし…暫くしたら熱が出るし…」
「あ…そういえば、まだ熱っぽいかも…」
は自分の額に手を当てる。
そりゃあ…あんな多く雪の降る庭を、何時間も歩いていれば身体に異状が生じるだろう。
今更ながら、なんて無謀な事をしたのだろう、と目を見開いた。
「そうでしょう?だから、今日はゆっくり休んでね。私が看病するわ」
ミランダが柔らかく微笑んだ。
「は俺が看病するんさあ!!」
慌ただしく扉が開き、ラビが現れた。
「~心配したさ…もう大丈夫さ?」
つかつかと、ベッドで眠っているに歩み寄り、その身体を抱きしめた。
「あぁ~あの時はあんなに冷たかったのにっ…よかったさ~!!」
「ち、ちょっと…ラビっ痛い…」
あたふたと、はラビの身体を押し返す。
そういえば、初めて此処に来た時も、ラビに抱きすくめられたな…とは思った。
“ラビや他の使用人達もお前を心配して、仕事になんねぇ”
(みんな…私の事を思ってくれてる…)
胸の辺りが、温かくなった。