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songs(R18)

第30章 ep4 皆が変わる日





「…?」

「熱は…あるか?」


言いながら、の額に手を当てるユウ。
は抵抗せぬまま、されるがままになっていた。

「まだ下がんねぇな」

「あ…」



優しくて、温かい手。
あの時も…誰かの腕に抱かれて…


「どうした…?」
「ユウ様が…探しに来て下さったんですか…?」


少し舌っ足らずの声。
少し潤んだ瞳が自分を見つめる。


「あの時…ユウ様が…」

そう、あの時自分を抱き起こしてくれた逞しい腕。

自分はその温かさを感じながら眠りについたのだ。


「だったらどうした?」

サイドテーブルに備えられたティーを飲み、尋ねるユウ。
こちらを見ようとしない彼の仕草が、どうしようもなく胸を燻られた。

はゆっくりと微笑んだ。


「…ありがとうございました」

そっと、ユウの手に触れた。

「私が寝てる間、ずっと握って下さってたんですよね…」


以前、私が貴方にそうしたように


「温かかった…」

「………………」


ユウは目を逸らし、呟くように小さな声で言った。

「前に、礼をすんのを忘れていたから…な」

チェシャーの頭を撫でながら、は笑みを浮かべた。


「今日は特別休暇を与える。ゆっくり休め」

「え…でも…」

「命令だ。休め」

ユウはに濡れたタオルを放り投げて背を向けた。


「ラビや他の使用人達もお前を心配して、仕事になんねぇ。…だから、早く治せ」


朝食を用意させる、と言い残し、部屋を去っていったユウ。

は柔らかい笑みを零した。


(優しいなぁ…)

あの人のお嫁さんになる人も、きっとこんな風に優しくされるんだろう…


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