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songs(R18)

第29章 ep3 貴族の事情






「ユウっやっぱ何処探してもいないさ…ってぇえ!?」


ノックもせずに、荒い息のまま入ってきたラビは、ユウとロードの状況に目を丸くした。

その隣には、

「ロード…」

「…ティッキー?」


ロードの執事、ティキもいた。

「さっきばったり会ったんさ」

「…どうしてティッキーが此処に…?」


ロードの問いに、ティキは顔を背けた。


「は…?」

「それが…」


ロードの話では、はティキに拉致された筈。
けれど当人が今、此処にいる…

となると…


「…何も手荒な事はしなかったんだが…捕らえていた部屋から飛び出して…」

つまり、逃げられたと…


「じゃあ…なんで戻って来ないんさ…!?」

ラビは怒りを表にして、今にもティキを殴り飛ばしそうだ。

「落ち着け…」

ベッドから降り、ユウはロードを振り向いた。

「とにかくあいつは無事だろう…姿だけでも確認できれば……………どうした?」

ロードの顔は真っ青で、不審に思ったユウは尋ねた。



「外だ…」

「は…?」


ユウ達は耳を疑った。

「外ってどういう事さ…?外は大雪さ…」


そう言って窓の外を見遣る。

もう辺りは銀世界で、12月の寒さが見てわかる。


「嘘…ついたんだ…猫が…外に逃げたって…

そしたらが、自分が探しに行くって言って…」


ロードはカタカタと震え始めた。


今更ながら、自分のした事が大罪という事を思い知ったのである。


「じゃあは…今も…」


この真冬の大雪の中に…


ラビの表情も蒼白になる。

「チッ!」


ラビの目の前を、ユウが走り去る。


「ラビ、お前はもう一回屋敷内を探せ!俺が外に行く!!」


そう言って、部屋を後にした。
ラビも弾かれたように、その場を後にした。


「ロード…」

ティキは今だに呆然としているロードに歩み寄った。


「僕…ほんと…なんて事しちゃったんだろ…」

ぽろぽろと涙がシーツに落ちる。



「がっ死んじゃうかもしれないよぉっ…」




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