第4章 fated アレン切裏
アレンはその石畳まで、所々突き出た岩を足場に移動した。
「あ…」
綺麗な艶めく長い黒髪が辺りに散らばり、
その黒とは対象の白いワンピースを来た少女が、そこで眠っていた。
まだ幼さの残る、アレンとさほど変わらない若い少女だ。
アレンはその少女を見て、今回の任務の“生気を吸う魔女”の事を思い出した。
「まさか…彼女が――」
「いつまで覗いてるの?」
と、眠っていた少女が不意に口を開いた。
驚いて後ずさるアレンだが、泉に落ちそうになった所を必死で踏み止まった。
「あ、危なかった…」
冷や汗をアレンが掻いてるうちに、少女は身体を起こしだるそうにアレンに目をやった。
「貴方…誰?」
淡泊で、何人も寄せ付けないような冷淡な声音にアレンは微笑んで応えた。
「僕、アレンって言います。あなたは?」
「…」
「というんですか。素敵な名前ですね」
石畳に腰を下ろしてアレンは言った。
「貴方も…ここの水を奪いにきたの?」
「え?」
キョトンとしてと名乗る少女を見るとその蒼い瞳には拒絶の色が滲み出ていた。
「ダメ…ダメよ。この水は…」
「ち、違いますよ!僕はこの水を取りに来たわけじゃないです…
―――貴方はここで何を?」
アレンが尋ねると、は軽い足取りで岩を渡った。
「取りに来たんじゃないならここには来ないほうがいいわ…ここはとても危険な場所だから…」
背を向けて、少女は言った。
「それは貴方が」
アレンは立ち上がり、を向いた。
「生気を吸う魔女と関係があるから、ですか?」
ピクンと、の肩が跳ねた。
「さん、貴方は他の人とは違う不思議な力をお持ちですか?僕はそれの捜査に来たんです」
「………」
「答えて下さい、さん…」
「昔、ね…この辺りに一組の若い男女が訪れたの。
そして、この泉を見つけた…」
独白するようには話し始めた―――・・・