第4章 fated アレン切裏
カツン…カツン…
自然の力でできた洞窟…
人気のないそこに、生気を吸う魔女が住んでいるという。
アレンはそんな奇妙な事件に、任務として首を突っ込まなければならなかった。
『なんでもその魔女さん、少女のような容姿らしいんだ。
もしかしたら彼女は適合者で、所持するイノセンスが暴走して、人の生気を奪っているんじゃないかと僕は思うんだ』
と、散らかった資料に埋もれたコムイの言葉が蘇る。
「はあ…だからって、探索隊を入り口に待たしておくんじゃなかった…」
今更になって、後悔の念が押し寄せてきた。
ひとり(ティムを除いて)で暗い洞窟を探索するなんて…心細いにも程がある。
(この洞窟に住んでいる魔女も、心細いんでしょうか…)
アレンは立ち止まり耳を澄ませた。
水の音…?
静かなこの洞窟なら、いつもの倍の距離を離れた所の音でも聞き取れる。
そう、微かに聞こえた水が泉に落ちるような美しい旋律―――
自然とアレンの身体は前に進み出した。
「わぁ…」
そこは遥か上の地上の光だけで輝く美しい泉があった。
どうやらここが行き止まりらしい。
花も何も他にはないが、そこだけが、時間が止まったように美しく、思わずアレンは見入ってしまう。
その泉の中央に石畳があり、そこにひとりの人間が横たわっていた。