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songs(R18)

第29章 ep3 貴族の事情




ーーー・・・


「フンフフン~♪」

「もうっやってられないわよ!」

廊下を軽い足取りで歩いていたロードは、自分が泊まっている客室からの怒鳴り声に、足を止めた。




―――…



ミランダは突然声を荒げた同僚に、戸惑いがちに尋ねた。

「あの…何をそんなに怒ってらっしゃるの?」

自分よりも2、3若い使用人二人は、溜め込んでいた怒りを吐き出すように言った。

「何って、あの我が儘お嬢様の事よ!もう信じらんないわ!!」

「ロード様…の事かしら?どうして…」

ミランダは首を傾げた。

「いきなり来て、ユウ様の婚約者になるですって!?」

「おまけに厨房はやりたい放題だし!この部屋だって…趣味の悪い飾り付けまで…!」

ミランダは二人の使用人が言うように部屋を見回す。
確かに、この客室は少女趣味に彩られ、元の部屋の影も形もない。
これは、ミランダも苦笑する他、なかった。

「ま、まぁでも…もうすぐいなくなるんじゃないかしら…」

「そんな訳ないわ!きっとユウ様を落とすまで此処に居座るつもりよ!!」

「お、落とすって…」

使用人は額に手を当てて重い息を吐く。

「ああ…あんなにお美しいユウ様が…あんな小娘にぃ…っ」

「あら、でもそれはないかもしれないわよ?」

もう一人の使用人が口を開いた。
二人は彼女を向く。

「ユウ様には、がいるじゃないの」

その言葉に、使用人は頷いた。

「ああ、そうよね。がいるものね」

「ど、どうしてちゃんが…?」

ミランダの問いに、使用人二人は首を傾げた。

「え?ミランダ、知らないの?」

「ユウ様、この前に私達が知らないうちに熱を出されたそうよ?
それでが看病して、ユウ様と一晩一緒にいたっていう…」

その話を聞くと、ミランダは耳まで赤らめた。

脳裏に先日の記憶が蘇る。

(やっぱり私…の部屋を間違ってなかったんだわ!)

あの時はたまたまユウが室内にいただけであって、本来はの部屋だったのだ。

ミランダは内心、安堵の息を漏らした。



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