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songs(R18)

第29章 ep3 貴族の事情





射抜くような視線…

なんだろう…胸をわしづかみされているような嫌な気分になるが、顔には出さなかった。

「ピュアリスです…」

「ピュアリス…昨日ちょっと気になって調べたんだけどさ」

ティキは口端を吊り上げた。

はティキの意図にやっと気付いたのか、目を見開いた。


「ピュアリスって…あの事件の」
「言わないでっ!!」

は叫ぶ。
荒げたの声に、ティキは口を閉ざす。

少女を向くと、暴かれる事を頑なに拒むように、ぎゅっと目をつむっていた。



(これじゃ、俺が虐めてるみたいじゃねぇか…)

こんな、自分よりも随分年下の少女を…
ただ質問しただけなのに…

けれど周りがふと自分達を見れば、確実に自分が悪いように見えるのだろう…


ティキは小さく息をついて、の頭に手を置いた。

「わかったよ…知らなかった事にする」

「…本当ですか?」

うっすらと涙を浮かべたは、目を丸くしてティキを見上げた。

そんな彼女を、安心させるようにティキは微笑んだ。

「ああ。…変な事言って悪かったな」

そう言ってティキは歩き出した。

「身体冷やすなよ。今日は吹雪いて来るらしいからな」

そう言い残して屋敷に戻っていくティキの背中を、は呆然と見つめていた。


無意識に、ハート型のロケットを握りしめて―――…



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