第29章 ep3 貴族の事情
―――…
「貴族の御夫人でもお料理ができると旦那様は喜ぶわ。先ずはユウ様に出すお菓子を作りましょう」
「はぁい♪」
厨房を借りて、は菓子作りに必要な調理道具を出す。
「作りやすいし、失敗も少ないからクッキーにしましょう」
「うんっ」
ボールにせっせとクッキーの材料を入れる
が、
ドサッ
「あ~」
シュガーの入った袋を床に落としたロード。
直ぐにが駆け寄る。
「ロード、怪我はない?」
「うん。手が滑っちゃったよぉ」
対して動じず、ロードは言った。
袋が破れ、中から大量のシュガーが流れるように出てくる
。
周りで見ていた使用人達が近づいてくる、がは軽く笑みを浮かべて制止した。
「ごめんなさい。私が掃除しますから大丈夫ですっ」
「シュガー、無くなっちゃったね~」
「ユウ様は甘いものが苦手だから砂糖は要らなかったの。代わりに刻んだドライフルーツを入れましょう」
床に散らばった白いシュガーを片付けるを、ロードは見下ろした。
そして、にっこりと微笑んだ…
「うん♪」