第29章 ep3 貴族の事情
―――…
「お庭も綺麗だねぇ~」
「ええ、いつも庭師が念入りにしてるんです。…ユウ様も、落ち着いた場所でお茶をするのが好きで、よく此処にいらっしゃいます」
ぐいぐいとの手を引くロード。
なんだか妹みたいで、は嬉しかった。
「ね~え~、ユウはどんな子が好きなの~?」
「ど、どんな子って…」
「ほら~例えば、こーんなナイスバディがいいのか~」
と、自分の両手を胸に合わせて巨乳を示す仕草をする。
「ちょっと控えめの知的な子がいいのか~…あるでしょ~?」
は頭を悩ませる。
要するにこの少女はユウの婚約者になるために、彼の好みの女性になろうとしているのだ。
「ですが、ロード様…?」
「ロードって呼んでって言ったでしょ~?あとタメ口で」
有無を言わせないロードの言葉に、は渋々口を開いた。
「あの…ロード?ロードはまだ12歳でしょう?結婚できる年齢まであと4年もあるわ」
「4年のうちにユウのタイプの子になるの~」
「でも、その4年の間に他に好きな人が…」
「僕はユウが好きなの!!」
ロードは声を荒げた。
思わずは声を詰まらせる。
「っとにかく~、これからユウの婚約者になるまで此処で特訓して4年後には絶対結婚するから!」
ロードの瞳は真っ直ぐにだけを捕らえていた。
その瞳の奥には何かが激しく燃え上がっていた。
「だから、も協力してね?」
さっきとは打って変わったロードの笑顔。
その瞳が訴えている激情には頷く事しかできなかった。