第29章 ep3 貴族の事情
二人の動きが制止する。
そんな様子の二人を見たのは、まずあのティキという黒髪の執事だった。
彼はふっと意味ありげに微笑んだ。
は我に返ってラビの腕から逃れる。
「ああそっかぁ~執事だったら、主人に付きっきりで女の子といちゃいちゃできないもんね~」
その後ろでロードは言った。
けれどその言葉の意味は、とラビ、二人が顔を見合わせてもわからなかった。
ロードはフフンッと笑みを浮かべて、
「僕、暫く此処に泊めさせてもらうから~よろしくねっ」
と言った。
「え…」
「だからちょっとこの屋敷の中探検したいんだぁ…案内してよぉ」
とラビとミランダはお互い顔を見合わせた。
「かしこまりました。では私が」
ロードはラビの横を通り過ぎ、の腕に抱き着いた。
「じゃあお願い♪」
「ぇ…?」
「君、可愛い顔だねぇ~名前はなんて言うのぉ~?」
上目遣いでを見上げるロード。
小悪魔めいた瞳が、射抜くように自分を捕らえた。
「…・ピュアリスと言います」
「か~僕はね、ロード・キャメロット。ロードでいいよぉ」
「そ、そんな…お客様にそんな馴れ馴れしい事できません…」
は慌てて首を振った。
そんなを見て、ロードはますます口端を釣り上げた。
「僕ね、ユウの好きなタイプを聞きたいんだ~」
「ぇ…?」
「僕、ユウの事気に入ったんだよ~だからぁ、ユウの婚約者になりたいんだぁ~」