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songs(R18)

第29章 ep3 貴族の事情





少し潤んだ翡翠の瞳と目が合う。


(は…?)


「本当に?…約束してね?」

「………」

「…ラビ?聞いてるの?」


何故か黙ったままのラビに呼び掛けると、彼ははっと我に返った。

「お、おう!約束さ!!」

ラビはぎこちなく笑みを浮かべ、のビリジアンローズの髪を優しく撫でた。

「そういえば…ラビに聞きたい事があったの」

思い出したように、はラビを向いた。

ラビはキョトンと小首を傾げた。

「な、何さ?」

「ラビって…どうしてユウ様の事を呼び捨てなの?タメ口だし…」

ずっと思っていた。

使用人達の中でもリーダー的な存在のラビ。
使用人長のような地位のある人になれば、あの人と同等に話せる権利が与えられるのだろうか?



「ああ、言ってなかったさ?俺、貴族なんさ」


の疑問に、ラビはさらりととんでもない答えを返してきた。

「………ぇえ!?」

はこれでもないくらいに目を開いて驚愕の声を上げた。
しぃ!とラビが指を立てて制す。

半分落ち着いたはまだラビの答えに対して半信半疑の様子。

「き、貴族様…?ど、どうして使用人なんかに…?」

確かに、ラビは庶民の自分達とはどこか違った雰囲気を醸し出している。

使用人という器に、収まりきらない程の…

彼が貴族だと言われても頷ける。
けれど、貴族である彼が何故…この屋敷の使用人なんかに…?



「簡単に言えば…居候さ」

「い、居候…?」

ラビの言葉をそのまま返す。

「俺の両親はとっくにいなくて、唯一の肉親は父方のジジイだけなんさ。
ジジイはうちの組織の事情で、各地を回ってる。
俺はお荷物だから、昔から古縁のあるこの屋敷に置かれてるんさ」

「組織の事情…?ラビの御祖父様は何をしてるの?」

が尋ねると、ラビは少々苦い笑みを浮かべた。

「まぁ…には似合わん事さ。うちがやってる事は」

「………?」

キョトンと小首を傾げるに、ラビは耳打ちする。

「ま、俺と結婚してくれるんなら教えてやってもいいさ~♪」

「…もうっ何言ってるの!殴るわよ」

「にだったら殴られてもいいさ~♪」

そう言って抱き着く。



「きゃっ…このっ」

その時、扉が開いた。


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