第29章 ep3 貴族の事情
―――…
「ふぅー、久しぶりのお客さんだから緊張したさ~」
応接室から出て来たラビは、ぶはっと重い息を吐いた。
「お疲れ様、ラビ」
ティーセットの片付け役として備えているは言った。
「でもユウ様、すごいわよね…10年も前のロードお嬢様の事も覚えてらしたわ」
ミランダは感心したように言った。
「あ~俺が教えたんさ」
「ラビが?ラビもそんなに前から此処にいるの?」
が尋ねる。
けれどラビは手を横に振って否定した。
「違うさ違うさ。さっきユウに頼まれて、急いで調べたんさ」
「ユウ様が…頼んだの…?」
とミランダは目を見開いた。
ラビは嬉しそうに何度も頷く。
「そっ。こんなん初めてさ~、ユウに頼み事されるなんて!嬉しくてダッシュで調べたさっ」
楽しそうに話すラビは本当に嬉しそうだ。
こちらまで嬉しくなっては微笑んだ。
「よかったわね、ラビ」
「なんだか…最近変わってきたわよね…ユウ様。穏やかになられたっていうか…」
微笑むミランダの言葉に、二人は同意する。
(が来てから…だな)
ラビは目を細め、を見つめた。
何も知らないは首を傾げた。
「な、何?ラビ」
「ん?やっぱりは可愛いなあと思ったんさ。ユウには勿体ないさ~…」
残念そうに肩を落とすラビを見て、は顔を真っ赤に染める。
「な、な、何言ってるの!ラビってば…」
「だってさ、一緒に寝たんさ?」
「変な風に言わないで!ただ…看病しただけで…」
そう言って顔を背ける。
そんな彼女を、ラビは本当に可愛いと感じた。
「ごめんさ~。もう言わんからさ」
おどけての頬に手を添え、視線を合わせる。