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songs(R18)

第29章 ep3 貴族の事情





―――…



「このローズヒップティーおいし~」

「ありがとうございます。……ではユウ様、ご用がありましたら、お申し付け下さい」



無駄のない動きで一礼し、ラビは応接室を出ていった。


「かっこいい執事だね、彼」

「いえ、執事ではなく、使用人です」

苦手なローズヒップを口にしても、顔色一つ変えないユウ。


(ラビ…いつか殴る…)


そんな黒い感情を腹の底に秘めながら…

「ふぅん…なんか変わってるね」

ロードは楽しげに目を細めた。


「今日はどう言ったご用件で?」

ユウはロードとティキとを交互に見つめた。

「ああ、そうそう…忘れてたよぉ……ティッキ~」


パンパンッとロードが手を叩くと、ティキは笑みを浮かべたまま包装された品をユウに差し出した。

「旦那様が地方で見つけた珍しい骨董品です。この度は、お近づきの印しにフロワ伯爵に」

「お気遣い感謝します」


ユウは相変わらず表情一つ変えずにそれを受け取った。
そんな彼の様子を、ロードは面白そうに頬杖をついて眺めていた。


「この度は、我がキャメロット邸の旦那様の体調不良のため、環境転換のため、本国の首都に移建しました。
旦那様は持病で寝たきり…代人として、娘のロード様がご挨拶に参りました」

「そうですか…確かキャメロット邸は、英国の端に位置していましたね。遠方からご苦労様です。我が屋敷で申し訳ありませんが、どうぞゆっくり体を休めて下さい」

「ありがとぉ~」


ロードがにっこりと笑む。
ティキは深く頭を下げた。

ロードは大きな瞳にユウを…ユウだけを映して言った。


「…ユウ・D・ティエドール…だっけ?」


テーブルの上のクッキーに手を伸ばす。

その動作をちらりとユウは見て、再び視線を彼女に戻す。


小悪魔めいた瞳と目が合う。


「ふぅ~ん…」

「…それが何か?」


ユウの問いに、ロードはニッと口端を吊り上げた。


「…僕、ユウの事気に入っちゃった♪」





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