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songs(R18)

第28章 ep2 深孤の優しさ





―――…



窓から朝陽が差し込み、ユウを容赦なく照り出した。

「……っ」

左手で陽射しを遮りながら、ユウは目を開いた。

(………)


見慣れない天井。

と言っても、豪奢な造りを嫌う自分の部屋は質素そのものであり、あまり変わらないが。

しばし沈黙した後、ユウは身体を起こした。

すると額から、ぬるい水を含んだ布が落ちた。


(そうだ…俺は…)


昨晩の事を思い出してユウは、自分の側で誰かが座り込んでいるのを発見した。

「………」


(……?)


自分が眠っているベッドに寄り掛かり、足を崩して寝息を立てている。


その小さな両手が、自分の右手を包むようにして握っていた。


(何故…)


思い返してみると、自分は昨晩、思いもしなかった事を口走っていた。

“ここにいろ…”


冷静になって考えてみると、何とも恥ずかしい言葉だった。

けれど、彼女はこれを守ってくれた。

ずっとずっと、握ってくれていたのだろう…

包まれた手が、温かい。




“あの子といれば…ユウは変われる…そんな気がするんさ…”


ラビの言葉を思い出す。


“こんな時くらい…甘えてもいいんですよ”


こいつなら…この少女なら…





ユウは陽射しで輝くビリジアンローズに手を伸ばした。


すると、

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