第28章 ep2 深孤の優しさ
「…てめぇ…どけ」
眉間にシワを寄せ、ユウはを睨みつけた。
「どきません。今は体を休めて下さい…私が看病しますから」
「そんな必要ねぇ…すぐ治る」
「今、無理してどうするんですか!いつも無理してるのに…!」
は今にも泣きそうな顔で言った。
「………っ」
「お願いですから、今だけは休んで下さい。こんな時くらい…甘えてもいいんですよ?」
“ユウ…”
その時、が、誰かと重なって見えた。
(母上…?)
5歳の時に亡くなってしまった母上の記憶が…心の底から浮かび上がってきた。
「なっ…」
「ユウ様は小さい頃にお母様を亡くしてしまったから、忘れてしまったんです。人の貴方への優しさと…愛情を」
は柔らかく微笑んだ。
「ずっと寂しくて…閉ざしてしまったのでしょう?貴方の本当の姿を」
本当は、ねぇ…
困ってる人をほって置けない…
こんなにも優しい心を持っているのに…
そして、
「何でも自分でやろうとしてしまうから…みんな淋しいんです。
もっと…もっと頼ってほしいんです」
「………」
「少しくらい甘えたって、誰も責めたりしません」
むしろ喜ぶだろう…
ラビなんかは特に。
何故なら、
「みんなユウ様の事が…好きなんですから…私も」
ユウは目を見開いた。