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songs(R18)

第28章 ep2 深孤の優しさ





初めてあった日は、『出ていけ』その一点張りだったのに…

こんなにも普通に話す彼を見て、なんだか新鮮な気持ちになる。

「………」

「あっ!…本当にありがとうございましたっ」


我に返っては深く頭を下げた。

「………」


ユウは何も言わない。
が、代わりに聞こえてくる…

荒い息遣い。


「………?」


顔を上げて、ユウを見上げる。
と、同時に前面に重いものを感じた。

「え?」


咄嗟に抱き留める細い身体。
が、自分よりも重い体のため、ずるずると床に崩れていく。


「ちょ…え?」

ランプを床に置いて、細い身体を抱えるように座り込む。

「…ユウ様?」


彼が、自分に倒れ込んでいる。
荒い息遣いを胸の辺りで感じる。
見るからに辛そうなユウの表情。

は手をユウの額に当てる。


「熱い…」


こんな熱、自分は出した事ない。とにかく、このままでは駄目だ。ベッドまで連れて行き、寝かせなければ…


廊下の静けさからして、他の使用人達は眠っているだろう。


は静かに扉を閉めてから、今だに自分の体に倒れ伏せている青年を見下ろした。

そして意を決したように、彼の肩を押して身体を起こす。


自分がすぐにでも立ち上がれる状態になると、彼の腕を自分の肩に回して立ち上がった。

肩を貸す、とまでは言えないが、引きずるように自分のベッドまで運んだ。

なんとか彼をベッドに寝かせる事はできたが、まだ彼は辛そうだ。


(冷やさないと…)


は部屋を飛び出した。




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