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songs(R18)

第28章 ep2 深孤の優しさ





―――…



コンコン…

ベッドに入ったが、中々眠れずにいたは、突然のノック音にすぐ体を起こした。

「…はい?」

カーディガンを羽織り、ランプを持って扉に歩み寄る。

「ミランダ…?」


こんな夜遅くに、何の用だろう…
恐る恐るノブに手を掛け、ゆっくり開く。

暗い廊下に、ランプの灯りが漏れる。
そして徐々に、訪問者の姿を照らし出していく。



「え…?」

は目を見開いた。

(な、なんで…?)


有り得ない、これは夢だろうか?
どうして…

「ユウ…様…?」


この人が…



こんなに近くで、こんなに端正な顔を見るのは一週間ぶりだろうか
しかもあれは事故で、出逢ってしまっただけで…


では何故、今、彼は自分の目の前に…?

「どうしたんですか?ユウ様…どうして此処に…」

「………」

ユウはの問いには黙ったまま、その小さな少女を見下ろしていた。

「…あの…」

どうしていいのかわからず、困った様子で視線を逸らす。


その翡翠色の瞳に、見たことのあるネックレスが映った。

「ぇ…?」


ハート型のロケットを差し出すユウを、驚いて見つめる。


「それ…どうして…」

「………」

「ユウ様が…拾って下さったんですか?」


ぱっと顔を輝かせては言った。
ユウはそれにも答えず、ロケットをの掌に乗せた。


「大事なもんなら、猫なんかに取られねぇように管理しとけ」

そこで初めて、ユウは口を開いた。


(こんな話し方をするんだ…)


彼の顔を見上げながら、はそんな事を考えていた。


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