第28章 ep2 深孤の優しさ
けれどラビは、哀しそうに微笑むだけだった。
「は…違う気がするさ…本当に」
ラビはユウの座る椅子に手を掛けて、彼の美しい顔を覗き込む。
コト…
睨むように眉間にシワを寄せて自分を見る青年の前に、ラビは花瓶を置いた。
「これも、がやったんさ。ユウが派手な花は嫌いなの、見通して作ってるさ」
「………」
こんなにも、自分の事を考えてくれる人がいたか…?
「あの子といれば…ユウは変われる…そんな気がするんさ…」
ラビはそう言い残して部屋を出て行った。
後に残されたユウは、その花瓶の花を黙って見つめた。
頭の中で、ラビの言葉がぐるぐると回る。
“あの子といれば…ユウは変われる…そんな気がするんさ…”
「………」
ユウはそれを机の隅に寄せ、振り切るように目を山積みの書類に向けた。
そしてまるで、機械人形のように羽ペンを動かし始めた――…