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songs(R18)

第28章 ep2 深孤の優しさ





ちょうどその時、入り口の扉が開いた。


「おっユウ。お茶でも飲むさ?」

「いい。そんな暇ねぇ」


貴族にはあるまじき乱暴な口調。
けれど長く美しい髪は既に乾かしており、きちんとネクタイまで絞めている。

すっかり仕事モードに入っているようだ。


まったく、この男は休む事を知らない、とため息をつきたくなる。

半ば呆れ気味に自分を見てくるラビに、ユウは小さく舌打ちして椅子についた。

その仕事机にラビはバサッと書類を置いた。


「現時点で、英国でのティエドールメーカーの売れ行きさ。新型のロングは王宮でも使われるらしいさ」

ラビの説明を耳に挟み、切れ長の瞳で書類に目を通すユウ。


ティエドール家は代々、戦闘武器を取り扱うメーカーである。
その新型のロングソードが首都ロンドンにある王宮の兵士の腰に挿されるそうである。

この書類はそれの承諾を求めるものだろう。

「これはユウがいつも稽古で使ってるやつだろ?すげえさっ」

ラビの言葉を無視して、ユウは印を押す。
というか、これらの類のものは全て彼が作っている。

長さ、光沢、切れ味全てを考え試作品を作り、それと同じものを信用している業者に製造させているのだ。

三年前、ユウが15の時からこの仕事を務めている。

父であるフロワもこの仕事に務めていたが、よく投げ出していた。

仕方がない。

彼自身が非常に穏やかなため、争うためのものは作れなかったのだった。



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