• テキストサイズ

songs(R18)

第28章 ep2 深孤の優しさ




忘れてる…それならいいが…
いや、忘れられているのは少し淋しい…



「そうだけど…」

「まあ、ユウの女嫌いは前からだからさ…母上様もユウが5つの時に亡くなったって言うし」

「…そうなの?」

「13年も経ったのに、再婚もしないなんて御主人もやるよな」


それほどまでに、妻に対する想いは変わらないのだろう。


「お母様、いないんだ…」

「そっ。だからこんなに可愛い使用人がいるのに恋の一つや二つしないなんてもったいないさっ」

「…それはラビだけの意見だと思うけど…」

は苦笑いを浮かべた。


「そんな事より、良いんさ?ユウ本当に来ちまうさ?」

「あっ!」

ははっと我に返り、急いでミランダの手を引いて部屋を出ていった。

ラビはその様子に口端を釣りあげた。

(やっぱ可愛いさ…)

すると、昼の陽だまりの中に綺麗に挿された花を見つけた。

がなにやら残りの花をかき集めていたのを思い出す。


(が作ったんか…)

その見事な出来栄えに、思わずまじまじと見とれてしまう。


(本当…面白い子さ…)


この冬、貴族社会で流行っている温室で作られた季節の早いピンクチューリップ。


(金持ちはこんな事にまで金を使うんさ…)


なんと裕福なのだろう…
なんだか腹が立ってくる。


だが、彼女が…


が飾ったものならば、何故だろう…





こんなにも愛しく感じてしまうのは何故だろう…



/ 412ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp