第27章 ep1 昼下がりの出会い
音もなく…彼の瞼だけが止まった空間の中で動き出す。
その一瞬の動作が、にはとても長く、
そして神秘的に感じた。
吸い込まれそうな切れ長の瞳に自分が映る。
「…誰だ」
彼の瞳だけを見ていたには、その声が誰から発せられたのか、一瞬わからなかった。
「え…?」
思わず聞き返してしまう。
だがすぐに我に返り、急いで立ち上がった。
「す、すみませんっ。あの…猫がいたんで追いかけていたら此処に着いて…」
反射的に弁解しようとするが、思えば人の部屋に勝手に足を踏み入れていたのだ、怪しい事この上ない。
彼の、射抜くような視線が恐ろしい。
「え、えと…私、今日からこの屋敷で働かせて頂く事になりました。・ピュアリスと言います」
「………」
「あ、あの、決して怪しい者じゃないんです。勝手に上がって来てしまって…すみません。執事の方ですか?」
そう尋ねたが、やっと気づいた。
執事なら、こんな巨大な私室を渡されているだろうか…?