第27章 ep1 昼下がりの出会い
「ユウ~、起こすなって言われたけど起こしに来たさ。新人の子、マジ可愛いんさって…あれ?」
そこに、この気まずい空気を裂くような陽気な人物が現れた。
「ラビさん…」
「…?もう御対面してんさ?珍しいさな。ユウが女の子の使用人入れるなんて」
「え…?」
はラビと、ユウと呼ばれる青年を交互に見た。
ユウと言う青年は相変わらず鋭い目つきで、機嫌はよろしくなかった。
ラビの言うことによれば、このユウという人はラビに、起こすなと告げていたはず…
きっと安らかな眠りを妨げられた事に腹を立てているのだろう。
いや、それ以前に原因は自分にあるのだが…
きっと、この青年が1番に腹を立てているのは自分だろう…
(まずいよ…)
顔が青ざめていく。
「ご、ごめんなさい!」
は深く頭を下げた。
彼の視線が恐ろしくて頭を上げられない。
「私…私…っ!」
「…出ていけ…」
「ま、まあユウ…何怒ってんのかは知んねえけどさ…許してやってくれさ、な?」
ラビの足音が近づいて来る。
は顔を上げ、ラビを見上げるが、彼の笑みも、やや引き攣っている。
どうやら、このユウという青年は今、ラビでさえ恐れ退く程の怒りを発しているのだろう。
「出ていけ」
どすの効いた声が静かな部屋に通る。
ラビとは思わず後退った。
「出ていけ!!」
ユウは一喝して怒鳴った。
「うわっ!」
ラビはを抱えるようにして、その部屋から飛び出した。後ろから、ユウの雷のような怒りが迫って来る気がした。