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songs(R18)

第27章 ep1 昼下がりの出会い





(それにしても…此処は何の部屋なの…?)

豪奢なティエドール邸には珍しい、質素な部屋だ。

白い部屋…寝室とでも言うのだろうか?

とにかく、貴族には似つかわしくない必要最低限のものしか置かれていない。

キングサイズのベッドにサイドテーブル、クローゼットに白いカーテン…そしてソファー。

はその上質な革でできたソファーで横になっている人物を見つけた。

よりも2、3年上の青年だ。

コバルトの空のような神秘的な青。それは絹のように美しくソファーに流れていた。

目鼻のすっと通った、整った顔立ちは女性のようだが、締めたネクタイとシャツが作り出す体のラインは細身だが、しっかりと男のものだ。


(執事さん…?)

ラビのような使用人がいるのだから、こんな美形の執事がいるのも納得できる。

(今は休憩の時間?)

寝ているなら、起きないうちに此処から去ろうとしたが、は立ち止まった。


彼の美しい顔を、もっと見ていたいという衝動に駆られたのだ。

自分の数少ない知り合いの中で、彼ほど端正な顔立ちの男性はいない。

ラビよりも整っているだろうか?

(本当に綺麗…)

時が許されるなら、いつまでも眺めていたい。

けれど、が彼の寝顔を堪能する事を許す者は、時間ばかりではなかった。

人間とは違う、これまた端正な猫の顔が、真っ直ぐに自分を見つめていた。

窓際に、が追いかけていた猫が満足そうに座っていた。


「ミャーオ!」

「っきゃあ!!」

は甲高い短い悲鳴をあげて腰をついた。

鼓動が速まる。
猫に驚いたからでもあるが、これから起きてしまうであろう目の前の男にあった。


(どうしよう…どうしよう…!)

そればかりが頭を渦巻いていて、逃走するという選択肢はの脳内にはなかった。




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