第27章 ep1 昼下がりの出会い
ーーー・・・
「此処で着替えてね。タイツとカチューシャも忘れないで」
「わかったわ」
従業員専用の脱衣所に案内され、カーテンをすると、布越しにミランダがそう声をかけた。
「じゃあ、私は部屋の外で待ってるわね」
「ええ。ありがとう…」
返事を返すと、扉の閉まる音と共にミランダの気配が消えた。
は渡された仕事服をハンガーにかけて、着ていた白のワンピースを脱いだ。
ロケットが鎖骨に当たり、はそれに目を落とした。
ロケットを開くと、は息をついた。
(お父さん、お母さん…やっと着いたよ…)
ぱちんとロケットの蓋を閉めて、目の前の姿見を見つめた。
(もうすぐだから…)
決意を新たにするかのように、拳を握った…―――
仕事服は、の気に入るものだった。
フリルが極端に少なく、質素な一連のワンピース状のものだ。
丈の長さも膝が隠れる程でちょうどいい。
黒タイツと白いカチューシャを付ければ、その鏡にはティエドール邸の立派な使用人が映っていた。
は大きく深呼吸をしてから、再びそれを見据えた。
(…頑張らなくちゃ)