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songs(R18)

第27章 ep1 昼下がりの出会い




―――…



「あの、ミランダ…さん?」
「な、何?」

昼の温かい陽射しが差し込む廊下を歩きながら、は口を開いた。

「ミランダさんは…いつから此処に?」

「…来年でもう10年になるわね…」

「えっ!?」

は目を見開いた。

「うふふ…10年もやっているのに、まだまだ力不足なのよね…昔からメイド長に叱られてばかりよ」

「そんな…力不足だなんて…それよりじ、10年って…一体いくつからやっていたんですか?」

「…ちょうど貴方くらいの歳だったから、16の頃ね…

私の両親が事故で亡くなって、親戚も誰もいなかったから…此処まで来るのには苦労したわ」

ミランダは今にも消えそうな笑みを浮かべた。

は無意識に首から下げたハート型のロケットを握りしめた。

「私も…同じなんです」

「え…?」

ミランダが目を見開く。

「私も、両親を事故で亡くしてて、それでティエドール伯爵が雇ってくれたんです」

「そうなの…」

「私達、似た者同士なんですね」

そう言って笑うが、ミランダは自分の事のように顔を歪めた。

「辛かったらいつでも言ってね…私なんかじゃ、頼りにならないかもしれないけれど…」

「ありがとうございます、ミランダさん」

そう言って、はにこりと笑んだ。

「ミランダでいいわ。それと敬語も使わないで…」

「え…でも…」

は立ち止まり、困ったように首を傾げた。

「いいの。貴女には、そんな風に呼んでほしくないの…」

そう言ってミランダは微笑んだ。

もどこか心が温かくなって、自然と笑みを零した。

「…ありがとう…ミランダ…」


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