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第27章 ep1 昼下がりの出会い





全くもって不可解だ。

何故、今は亡き母と、このおっとりした絵描きの間に自分が生まれたのだろうか…

目鼻が母とそっくりと父が言うので、母は厳しい人だったのだろうか?


そんな事を考えつつ、大荷物に潰れてしまいそうな父を見送る。

「ああそうだ…今日、新しいメイドさんを雇ったんだよ」

突然、彼は口を開いた。
青年がやれやれと、息を吐く。

「また…ですか?一体何人使用人を増やせば気が済むんです、貴方は…」

「何を言ってるんだいっ女の子は一人でも多くいた方が男は磨かれていくんだよ」

と、熱く持論を語る父を一方的に押し出すと、一通り話を終わらせた彼はくるりと振り返り、息子の頭を撫でた。

けれど青年は面倒臭そうにそれを避け、そんな子を見てまた微笑んだ。

「使用人は初めてらしいから、仲良くしてやってくれ」

青年は頷き一つせずに、いってらっしゃいませ、そう言って扉を閉めた。

そして先程まで広げていたティーセットを使用人に片付けさせながら、ちらりと窓の外を見やった。

父であるフロワ・D・ティエドールを乗せているだろう馬車が丘を走って行くのが見える。

それとは別の白い馬車がこちらへ向かってくるのも見えた。

先程言っていた新人の使用人だろう。

どちらにしろ、自分には関係のない事だ。

本当なら、使用人等一人も必要ない。

けれど、一流貴族である我が屋敷に使用人が一人もいないとなると変な噂が立つ。


だから仕方なく、仕方なくだ。

それも雇うだけ…決して自分には近付けさせない…


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