第3章 Together when... ラビ切裏
「全部、嘘だったのか…」
そう思うと乾いた笑い声が漏れた。
「じゃあ♡また後で会いましょう♡
最後のお別れ会ですからね♡」
「ばいば~い」
は黙ったまま、その場に立ち尽くした。
「、一つ聞きたい事があるさ」
ラビの声に、は肩をピクッと跳ねさせて顔を上げた。
「俺の為って…何さ…?」
ノアとして目覚めたのなら人間が憎かったはず。
だったら、さっさと自分を殺し伯爵の元へ行けばよかったのに…
果てしない憎しみの衝動を抑えてまで自分と過ごす二日間に意味はあったのだろうか?
真っ直ぐにはラビを見据えた。
「ノアとして目覚めて最初に貴方を見た時、その場で殺しそうになった」
「………」
「でも…出来なかった。
何故だと思う?私の中の、ノアになる前の私の心がノアの感情を押さえ込んでいたからよ。
貴方を…愛していたから…」
大切な人を守りたかった
感情や、苦しみが押し寄せたって…
それでも引けない想いがあったから…
「今もね…私の中でノアの私が貴方を殺したがってる。それをただの人間の女の私が押し留めているわ」
そういうと、は両手を広げた。
「さあ、私を殺して!」
今なら、人間のままの私で死ねる、と付き足してラビを見つめた。
額に巻いた包帯が赤黒く染まり始めていた。
「さあ、ラビ!これは任務よ!早く!」
手が、足が、震える。
わかっていたことじゃないか、
彼女を殺さなければ…
ラビはきつく目を閉じた──