第23章 Moments アレン切裏パロ
さまよってる…
貴方の剥き出しの心が…
迷ってる…私でいいのかと…
大丈夫…
私が受け止めてあげるから…
貴方が、もう苦しまないように…
私が…
唇が重なる。
彼の涙が頬に触れる。
の涙と混ざり合う…
混じり合ってはいけないのに…
私達は…
けれど人は、悲しい時程、愛を求めるの…
アレン様も自分を求める…
なくしたものを満たす為に…
けれどそれでも構わない。
貴方の為に、そうなるなら…
これも、愛なんです…
神様…
「ごめん…突然…驚かせてしまったね…」
落ち着きを取り戻したアレンは、申し訳なさそうに目を伏せた。
「こんなんじゃ、ウォーカー家の当主は務まらないよね…」
「…そんな…押し殺した顔をしないで下さい…アレン様」
はアレンの背中に回した手に力を込めた。
「もう…もう独りで背負い込むのはやめて下さい…アレン様に…心から笑ってほしいんです…っ」
「………」
アレンは自分を必死に包もうとする少女の頭に手を置いた。
(僕なんかの為に…)
彼女も、そうだった…
彼女は、いつも慈愛に満ちた瞳をしていた。
話す度に、渇いた僕の心を癒してくれるようだった。
でも、その優しさ故…
僕は彼女にも“自分”を出すことができなかった。
本当はこんなに脆い心の持ち主と言う事を…
彼女には
嫌われたくなかったから…
でも、もう彼女はいない…
雨だから、今日は泊まればいいと言った。
けれど突然、迷惑をかける訳にはいかないと、僕からすり抜けた…
あの時、彼女の拒否の声を抑えてまで…側においていたら…――
彼女は…
「リナリー…っ」
今、自分が抱きしめているのは違う人…
彼女と似ているものを持っているけれど、彼女じゃない…
わかっている…わかっているけれど…!
「…ごめん…っ」
パタン…と、扉の閉まる音が無人となった廊下に響いた。