第23章 Moments アレン切裏パロ
「貴方に拾われた日から、私は一生貴方の使用人でいると誓いました…」
死ぬまで、運命を共にすると…
「もう…独りで苦しまないで…笑顔の仮面を被らないで…っ」
貴方は…
まだこんなにも、幼いのに…
どうしてこんな風に生きなければならない?
どうして莫大なものを背負わなければならない?
自由に…飛び立てないの?
貴方は翼を失くした天使…
私が鳥なら、貴方の元へ飛んでいき、羽根をあげよう…
貴方が飛び立てるように…
ガチャ…
と、扉が開いた。
の見開いた瞳の先には三日ぶりに見る、愛しい顔があった。
銀の瞳は戸惑いがちで、聖母の手を求める幼子のようだった…
は涙を流した。
彼の笑顔の裏の孤独を見つけてあげられなかった事…
こんなになるほど想われていたリナリーが羨ましかった事…
彼が、
堅い殻から出て来てくれた事…
それらが全て混ざり合い、言葉となって彼を救う…
「私はアレン様のマリアにはなれませんか…?」
皿が割れる音…
引き寄せられる身体…
抱き込む温かい腕…
悲痛の泣き声…
アレンの腕の中では足元の落ちて割れた皿のカケラに目を落とした。
彼の心も…同じように傷だらけ…
はきつく自分を抱く彼の背に手を回した。
少し痩せたようだ…
「っ…うっ…」
「アレン様…」
やっと…
やっと本当の貴方を見つけた…
悲痛な彼の想いが、重なった身体から伝ってくる…
「っ…僕は…っ」
ずっと苦しかった
辛かった
勉強なんて嫌だった
お父様のように偉大なりにたかった
遊びたかった
友人がほしかった
外に出たかった…
リナリーと結婚したかった…
全てが…伝わってくる。
それは忘れてはいけないものとして、の胸を貫く。
「…辛かったね…ごめんね…っ」
あんなに憧れていた彼の姿が、今はこんなに小さくて…今にも消えてしまいそうで…
行き場をなくした彼の心…
きっと、リナリーにも話した事はないのだろう…