第23章 Moments アレン切裏パロ
―――…
あれから屋敷に戻ったアレン様は自室に篭ってしまった。
呼びかけても、応える事はなかった。
アレン様…絶望の淵に立たされた貴方は…何を思ってるの?
私、貴方の為にここにいるのに…
そばにいたいのに…
「アレン様、お体を悪くします。出て来て下さい」
三日後、はアレンの自室の前に立った。
いつものように返事はなく、長い廊下に彼女の声が虚しく通る。
けれど、今日は引き下がらない。彼が心配だった…
「お食事をお持ちしました。少しでもいいのでお食べ下さい」
すると、扉の向こうからか細い声が返ってきた。
「要らない…」
はこんなに弱々しい彼の声を初めて聞いた。
彩り鮮やかな食事に目を落とす。
「アレン様…貴方はいつでも私に笑顔を見せて下さってた…
でも、やっと気付いたんです。
貴方が笑顔だけしか見せていなかった事を…
御自身の苦しい顔を見せないで…いつもいつも笑っていられましたよね?」
私は…気付いてあげられなかった
先代の財産だけでは今のウォーカー家はなかった。
時には地位を狙われ、
時には周囲の思考をかい潜ってきた…
決して楽ではなかったのに…
こんな若さで成し遂げてきたアレン様…
貴方はいつも…
「どうして…どうして私に弱さを見せてくれないのですか?独りで泣くのですか…っ」
カタカタと手が震え、食器が小さく音を起てる。
「リナリー様を亡くされて、こうして部屋に閉じこもるのは、弱さを見せたくないからですか?」
私に心配かけない為に…
私は貴方の為に尽くしたいのに…
「使用人は主人の僕です…主人の悲しみは使用人の悲しみ…アレン様が悲しんでいるなら、私にだって涙を流させて下さい…っ」
もっと、縋って…
弱い所も、全て私に…