第23章 Moments アレン切裏パロ
この人は、私の気持ちに気付いているのだろうか?
こんなに近くで…
私みたいな使用人といて…
そればかりが、いつも胸を渦巻いている…
彼とは一年前に出会った…
には親がなく、親戚達の間でたらい回しにされた揚句、気がつけば独り、路地裏で生活していた。
生きる事に意味の無さを感じ、ただ呆然と暮らしていたあの日を思い出すと、あの頃の景色が甦ってくる。
食料も、精力もなにもかもが尽きた時、倒れたのがアレンの目の前だった…
彼はやせ細ったを保護し、ハウスメイドとしての職を彼女に与えた…
以来、ハウスメイドをしてこれたのはアレンのおかげだと、心から感謝しているにとって、ハウスメイドの仕事は大好きだった。
なによりアレンの姿をよく拝見できる。
自分にとって彼は命の恩人であるし、一生この身を尽くして仕える存在でもあった…
けれど、出会った当初から、自分にはそれ以上の感情が芽生えていた。
恋心――…
それは従者として、決して芽生えてはならないもの…
こんなに愛おしいのに――…
「今日は彼女が来るんだよね…」
現実は、
なんて厳しいのだろう…