第23章 Moments アレン切裏パロ
―――…
「失礼します…あら、今日は早いお目覚めですね」
豪奢な扉を開くと、
彼はそこに立っていた。
どんなに金細工職人が作っても叶わない程に細く美しい銀髪…
ダイアモンドのように輝く銀の瞳は、いつものように優しい色をしている…
まだ少年とも言える年齢の、この屋敷の当主…
「アレン様」
「…たまには早く起きるのもいいかなって思ったんだ」
そう言って、アレンは大きく伸びをした後、澄んだ瞳でを見た。
「おはよう、」
そう、その笑顔が…
私は大好きなんです…
赤らめる顔を隠すように、は頭を下げた。
「…おはようございます、アレン様…」
「うん」
が再び顔を上げると、彼は優雅に開けた窓の外を見つめていた。
この、たまに神様がくれる…二人だけの時間が1番好きだ。
普段、大勢の中でも映えるその整った容姿と個性を披露される彼も眩しいが…
こうして、穏やかに景色を見つめる本来の彼の姿を拝見できるこの時が1番好き…
彼が、自分だけのものになったようで…
彼が、
自分だけを…見てくれているようで…
ハッと我に返り、は本来の仕事にかかる。
「今日は、アレン様の専属執事が私事で故郷に帰られているので、ハウスメイドの私がアレン様のお世話をさせていただきます」
何故、自分にこの役が回って来たのかわからない…
これも神の御好意と言うのなら、困ったものだ…
アレンは、こちらを向いて微笑んだ。
「うん、よろしく」
「は、はいっ」
「そんなに固くならないでよ…」
困ったように眉を潜め、アレンはに歩み寄った。
好意を抱く彼との距離が徐々に縮まり、は恥ずかしさに顔を上げる事ができない。
固く目をつむっていると、アレンの少女のように繊細な手が、頭に乗せられた。
はゆっくり目を開くと、アレンの柔らかい笑みがすぐ側にあった。
覗き込むように見つめられるが、そらす事ができない。
「仕事してる…とても幸せそうだよ?」
「み、見ていらっしゃったんですか…っ?」
恥ずかしさに、余計に顔が赤く染まる。
アレンは頷き、そして言った。
「いつもみたいに、笑って…?」
そっとの頭を撫でる。
「返事は…?」
「は、い…」