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songs(R18)

第22章 Why 神田パロ切甘裏




「これは、同情なんかじゃない。
あなたとはちょっと違うけど、私にも両親はいないから…
家族がいない淋しさ、私にもわかるよ。

でも、両親がいない淋しさから救ってくれるのは、此処なんだよ…」


ひとり孤独に震えながら、空を見上げる事はない…

「あなたが安心して笑える場所も、此処にあるんだよ?」

は聖母のように微笑み神田の頭を包み込んだ。


私を頼ってほしい

あなたはひとりなんかじゃない

もう、ひとりで傷ついたりしないで…

心を開いて…


「神田君…信じてみて…もう、泣いてもいいよ?」

あなたを
受け入れられる力があるから…



「泣くかよ…馬鹿」
「へ…?」
の腕の中から神田が頭を上げた。

随分近い距離にある綺麗な顔に、は目線をあちこちにやる。

「あ…えと、その…」

急に気恥ずかしくなるが、神田はを真っ直ぐに捕らえた。

「俺は今まで、人前で泣いた事なんてねぇ…加えて、笑った事もなかった…」

すると、神田はゆっくり口の端を持ち上げた。

「お前にこうされていたら、自然に笑えるようになった」

彼の笑った顔は本当に綺麗で、幸せそうで…

つられても笑う。

(私は…あなたの笑顔が見たかったんだよ…)

「…そばにいてほしい、今、お前に」

神田は僅かに震える細い腕をの背に回す。

甘える赤ん坊のような彼に、少女は抱きしめ返す。

「うん…そばにいるよ。信じてみて…」

神田は頷き、そしての頬に手を添えた。



「………?」
「いつか俺はここを出て、職につく。そしたらお前を迎えに来る…」

待っていてくれるか?そう尋ねた神田に、は頷いた。

「待ってる…神田君」
「ユウで、いい。お前には特別その権利をやる」

それは、あなたが私に心を開いてくれたという証拠…?


嬉しくて、思わず瞳が潤む。



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