第22章 Why 神田パロ切甘裏
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「う…っ」
「あ、目が覚めた?」
見慣れない天井に、僅かに戸惑っていると、聞き覚えのある声がして振り向く。
「お前…」
確か…と言った…
「ここ、私の部屋なの。君、39度もあったんだよ。それに、丸一日ぐっすり眠ってたの」
「………」
神田はまだぼうっとしたまま、を見つめていた。
「何か食べる?さっき先生がくれたおにぎりがあるんだけど…」
「なあ…」
「……?」
神田の声に、机の上をあさる手を止めて振り向いた。
「怒ってないのか?その…あんな事言って…」
言いにくそうに言葉を濁らせる彼の表情に、僅かながら罪悪感があるのに気がついた。
「ああ、あの事?…別に気にしないで?
私のほうこそ、何も知らないくせにあんな事言ってごめんね」
「……?」
「大変だったよね?ストリートチルドレン、だったんでしょう…?」
神田は途端に俯き視線をそらした。
は彼のいるベッドの端に腰掛ける。
「私は物心ついた頃から此処にいるから、あなたがしてきた苦労なんて、想像する事ができない」
決して自分以外を信用できない、そんな環境。
変態相手に身体を売ったり、
奴隷のような生活を送ってきた…
そこから抜け出したあなたの心の傷は、
完全にはきっと直せない。
「でも、でもね神田君…あなたの背負ってきたものを、私にも担げる事はできるんだよ?」
「……?」
神田は顔を上げてを見た。
「ひとりで背負い込むにはきっと重過ぎるよ。でも、もうひとり…あなたを助けてあげたい気持ちのある人がいたら…」
きっと光は射すよ―…